著作権法珍解釈
とあるメールマガジンを読んでいたら
「国が発行してるものは著作権が発生しない」
と投稿した人がいた。もちろんこれは誤りで、たとえば日本工業規格(JIS)には「著作権がある」「複製には許諾が必要」とはっきり書かれている。
【Q1】JISの著作権について教えてください。
A.JISは、著作権法によって保護対象となっている著作物です。(以下略)
※引用にも許諾が必要なんて書いて信用を落としているのが残念。
しかし前にあるメーリングリストで、国家試験の問題にも著作権はあると書いたものだから、気になり改めて各省庁のサイトを検索してみた。googleで「site:go.jp "国家試験" 問題 著作権」。ところが難しいものだ。試験案内のページにヘッダかフッタで「著作権について」とあればそれがヒットしてしまう。
結論から言うと、国家試験問題の著作権について記したページは発見できなかった。orz
次に「site:go.jp」(対象を日本国政府のサイトに限定)を外すととんでもない発見があった。常々著作権は勝手な解釈が多いと感じていたが、もう口(くち)アングリの世界。
たとえば
著作権法第十三条で,国又は地方公共団体の機関が作成した翻訳物や編集物は,権利の目的とならない(つまり著作権法での保護の対象とはならない)と規定されています。
と麗々しく書いてあるのは「初級システムアドミニストレータ試験情報」というサイト。ホントですかぁ。
第13条で目的の対象にならないと規定されているのは
「1.憲法その他の法令」
「2. 国(中略)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの」
「3.裁判所の判決、決定、命令(後略)」
「4.前2号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国(略)が作成するもの」
試験問題は告示でも訓令でも通達でもそれらに類するものでもないでしょう。どうやら第4項の「前2号に掲げるものの」を読み落としている模様。
素人の勝手解釈ならご愛嬌なれど、初級シスアドの試験情報をうたっているサイトで、この勘違いはなんとしたことか。当該ページとトップしか見ていないが、かなり力の入ったサイトで、AD関係の本も出されているらしい。ひょっとしてこの世界では有名人?(なんか地雷に近づいた感じ...)
(余談ですが、この方「もしくは」と「または」の使い分けもご存じない。法律の原文は「若しくは」なのに勝手に「又は」にしている。ま、公務員とか法律家以外には関係のない話ですが。)
別サイトの「予備校や学習塾は著作権法違反で飯を食っている!」という期待させるタイトルのページですら著作権法の第36条では,「営利行為として試験問題を複製するには,著作権者に補償金を払うか,著作権者の承諾がなければならない」ことになってます。なんて書いている。
驚いて条文を見直した。36条に書いてあるのは「試験問題として複製できる」であって、「試験問題を」ではない。条文はちゃんと読もうよ。
ただ、そこには興味深いことが書いてあった。40年以上前に弁護士が、司法試験の過去問が出回っていることについて法務省に見解を質したらしい。で、法務省は「そこはまあ,よしなに…」という非公式見解を述べたとか。ははぁ。
確かに複製権侵害は親告罪(告訴がなければ起訴できない)だから、著作権者が黙認すれば許諾を得たも同様。しかし卑しい、じゃなかったいやしくも司法試験に関わろうという人なら、形式的であれ法律違反をすべきではないと思う。シスアドだって著作権は大きな柱なのだから、手続きを疎かにすべきではない。(試験問題を持ち帰らせながら複製自由と宣言しない試験センターもどうかと思う。)
さて、この機会にblogへ情報処理技術者試験の問題を載せている人へ一言。「問題だけ」は止めてほしい。調べ物をしていて、そういう無内容なページがヒットすると、こう黒い情念がむらむらと。問題に続けて自分の回答を、オリジナル表現の根拠を添えて書き込んであれば、これは「引用による利用」で大手を振って公開できる。間違えていた場合は恥をかくかもしれないが、失敗を恐れていて前進はありえない。その緊張感を維持してしっかり考えたまえ。公明正大かつ勉強になる。どうか問題だけのblogは止めてくれ。
さきのサイト運営者も 受け売りブログが大流行とお嘆きです。どうでしょう、無内容なblogにはボログという名称を献呈しませんか。(うまい命名とほくそえんでいたら、ググれば948件もヒットするじゃない)


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